【季節の掲示板-2024/11】みな露のいのちを生きている
みな露のいのちを生きている
幼子を亡くした俳人・小林一茶は、
「露の世は 露の世ながら さりながら」
と、後ろ髪を引かれる思いを切々と詠みました。
また、天下を統一した豊臣秀吉は、辞世の句に
「露と落ち 露と消えにし わが身かな 難波(なにわ)のことも 夢のまた夢」
と、その心情を吐露しました。「露」と「夢」という言葉には、人生のはかなさを見つめる日本人の死生観が深く映し出されているのかもしれません。
さらに、市井の念仏詩人・榎本栄一さんの詩集には、
「今は妻や子になんの不足があろう、私もみな露のいのちを生きている」
と詠まれ、家族と共に過ごす日々の喜びと、命の儚さを静かに綴っています。
限りある人生の一瞬一瞬を慈しみ、今ここに生きることの尊さを心に刻みたいものです。
合掌