【季節の掲示板-2025/07】和をねがい 朝な夕な 鐘が鳴る

和をねがい 朝な夕な 鐘が鳴る
朝6時、聖徳寺の鐘の音が静かな町に響きます。そして夕方5時には、養泉寺の鐘が一日の終わりを告げます。この日々の営みは、私たちの暮らしの中に静かに「和(わ)」のこころを届けてくれているようです。
「和をもって貴しとなす」――これは、聖徳太子が定めた『十七条憲法』の冒頭に記された言葉です。1400年もの時を経てなお、日本人の心の根底に息づいている精神といえるでしょう。
同じ時代を生きた偉人に、イスラム教の預言者ムハンマド(マホメット)がいます。世界三大宗教の聖地エルサレムは今、戦火に揺れています。この現実に心が痛みます。
その点、仏教は2500年の長い歴史の中で、異なる信仰を持つ者を迫害することなく、むしろ慈しみのこころをもって共に生きる道を説いてきました。
「和」には、人と人の調和だけでなく、自然との調和も含まれています。聖徳太子の憲法第三条には、「四時(しいじ)順い行いて万気通う」とあり、四季のめぐりが正しく行われてこそ、あらゆる命が健やかに息づくと説かれています。
しかし近年、気候変動により四季のうつろいが感じにくくなりつつあります。私たちは今こそ、自然とのつながりを見直し、地球と調和して生きることを考える時なのかもしれません。
聖徳太子は、人々だけでなく、すべてのいのち、そして森羅万象にまで慈しみの目を向けられたといいます。そのお姿は「菩薩天子」とたたえられています。
朝な夕なに響く鐘の音に、いのちといのちを結ぶ「和」のこころを感じながら、静かに手を合わせてみませんか。
合掌